亜鉛めっきとは、亜鉛金属を電気の力で析出させる方法と溶融させた亜鉛に浸漬することで析出させる2つの方法があり、高い耐食性を付与出来るめっき処理です。
亜鉛めっき処理の基本
亜鉛めっきは、防錆効果が高く主に鉄製品に対して処理を行いますが、これは亜鉛めっき上に不動態膜が生成されるからです。
亜鉛は鉄よりイオン化傾向が大きいので、めっき皮膜にピンホールがあっても亜鉛が犠牲となって素地の錆を防ぎ高い防食効果を得ることが出来ます。これを犠牲防食といいます。
亜鉛めっき処理のメリット・デメリット
亜鉛めっき処理のメリット
まず、高い耐食性が挙げられます。亜鉛は鉄の表面を覆うことで酸化を防ぎ、錆びにくくするため、鉄製品の耐久性が大幅に向上します。特に屋外や湿度の高い環境での使用に適しています。
次に、コスト効率が良い点も大きなメリットです。亜鉛めっきは比較的低コストで実施できるため、経済的に効果的な防錆方法として広く利用されています。また、リサイクル性が高く、廃棄物処理が環境に優しい点も魅力です。さらに、亜鉛めっきは加工が簡便で、大量生産に向いています。多数の部品を一度に処理でき、処理速度も速いので、生産効率が高まります。加えて、外観の改善も期待できます。亜鉛めっきは光沢があり、美しい仕上がりが得られるため、装飾目的でも利用されます。
最後に、亜鉛自身が犠牲防食作用を持つため、基材が万一傷ついても亜鉛が先に酸化することで基材を保護します。このように亜鉛めっき処理は多くの利点があり、建築、車両、家電製品など多様な分野で利用されています。
- 膜厚管理が容易:内・外形に複雑な形状を持つ製品でも均一な膜厚が形成可能
- 優れた耐食性:化学薬品などの液相内や海水などにおける耐食性・耐久性を有します。
亜鉛めっき処理のデメリット
亜鉛めっき処理には多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在します。まず、耐摩耗性が限定的である点が挙げられます。亜鉛自身が柔らかいため、機械的な摩耗に対してはそれほど強くありません。頻繁に摩擦が発生する部品には適していないと言えます。
次に、高温環境に対する耐性が低い点も問題です。亜鉛めっきは比較的低い温度で溶け始めるため、高温環境での使用には向きません。高温環境では亜鉛が劣化しやすく、保護効果が減少する可能性があります。また、表面の美観についても注意が必要です。亜鉛めっきは初期状態では美しい光沢を持つものの、時間が経つとくすんだり白さびが発生することがあり、外観が劣化する場合があります。
さらに、亜鉛めっき処理においては、不均一なめっきが発生することもあります。複雑な形状や狭い空間では均一なめっき層を得るのが難しく、めっき膜厚が不均一になることがあります。
最後に、環境規制も考慮する必要があります。亜鉛めっきに使用される化学薬品や生成される廃液は環境に対して有害な場合があるため、適切な管理と処理が求められます。このように、亜鉛めっきにはいくつかのデメリットがあるため、用途によっては他の表面処理法を検討することも重要です。
- 衝撃に弱い:耐食性はあるものの、特定環境下で脆性が増す。
亜鉛めっき処理に適した素材
亜鉛めっき処理に適した素材は、主に鉄やその合金が中心です。以下に具体的な例を挙げます
- 炭素鋼:最も一般的に使用される素材で、建築用の鋼材や機械部品など多岐にわたります。亜鉛めっきを施すことで、錆びや腐食から保護され、耐久性が向上します。
- ステンレス鋼:基本的にステンレス鋼自体が耐食性を持ちますが、さらに強化するために亜鉛めっきを施すことがあります。ただし、あまり一般的ではありません。
- 鋳鉄:構造物や産業機械の部品としてよく使用される鋳鉄も亜鉛めっき処理に適しています。これにより、耐食性が向上し、使用寿命が延びます。
- 鉄系の金属・合金:鉄を基材とする金属や合金も亜鉛めっきによる防錆効果が高く、幅広い用途で利用されています。
- その他の鉄製品:鉄釘やボルト、ナットなどの小型部品も、亜鉛めっきによって腐食から保護されるためよく利用されます。
亜鉛めっきはこれらの素材に対して高い防錆効果を提供し、耐久性を向上させるため、建築、製造、輸送などの多岐にわたる産業で利用されています。鉄およびその合金: 炭素鋼やステンレス鋼などが含まれます。耐食性や耐摩耗性を向上させるために広く使用されます。
めっき処理事例のご紹介
工作機械部品への亜鉛めっき(三価クロメート)
本表面処理・めっき処理事例は、アルミ表面処理・めっき. COMが手掛けた工作機械のパーツとなる製品で、亜鉛めっき(三価クロメート)を施しています。
鉄を基材としており、工作機械の部品となることから膜厚管理については細かな指定がありました。当社では、表面処理・めっき処理において処理液の点からも工夫をしており、膜厚の均一性が高い処理液を使用しているため、膜厚が一定で品質トラブルが発生しにくい処理方法を実現しています。本製品はロット100個で当社が手掛ける製品の中では比較的数が多い製品と言えます。
建設機械部品への亜鉛めっき(三価黒クロメート)
本表面処理・めっき処理事例は、アルミ表面処理・めっき. COMが手掛けた建設機械のパーツとなる製品で、亜鉛めっき(三価黒クロメート)を施しています。
鉄を基材としており、建設機械の部品となることから膜厚管理については細かな指定がありました。また、外観品質についても指定があり、色の調整が難しい黒色について均一性を求められており、色味の点の管理も当社のノウハウが詰まった製品です。
工作機械部品への亜鉛メッキ(三価クロメート)
本表面処理・めっき処理事例は、アルミ表面処理・めっき. COMが手掛けた工作機械のパーツとなる製品で、亜鉛めっき(三価クロメート)を施しています。
板金加工品は曲げ加工が深い箇所や、溶接構造によってめっき膜が均一に乗りにくい場合があります。今回の事例も形状が複雑であるため、丸ものなどの製品と同じようにしても均一な膜の形成は期待できません。