アルミ表面処理・めっき技術情報
2025.06.12

無電解ニッケルめっきのよくあるトラブルと不具合対策とは?

1. 無電解ニッケルめっきとは?

無電解ニッケルめっきは、電気を使わずに金属の表面にニッケル-リン合金の皮膜を析出させる表面処理技術です。電気めっきと異なり、通電性のないプラスチックやセラミックスなどにも均一な厚みでめっきを施せる点が大きな特長です。このめっき皮膜は、優れた耐食性、耐摩耗性、硬度、導電性、さらには複雑な形状への均一な析出性など、多岐にわたる優れた特性を備えており、自動車部品、電子部品、医療機器、金型など、非常に幅広い産業分野で活用されています。無電解ニッケルめっきのプロセスは、主に前処理、めっき浴での析出、後処理という流れで進みます。前処理では、被めっき物の表面を洗浄・活性化し、めっきの密着性を高めます。めっき浴にはニッケルイオンと還元剤が含まれており、自己触媒反応によりニッケルが析出します。

還元剤の種類や濃度に応じて、めっき皮膜中のリン含有量が変化し、それによって硬度や耐食性といった性質が調整されます。たとえば、リンの含有量が高いほど皮膜は非晶質(アモルファス)構造となり、耐食性が向上する傾向があります。ただし、硬質クロムめっきは完全無欠ではありません。次項では、硬質クロムめっきで発生しうる代表的な不具合やトラブル、その原因と対策について解説します。

2. 無電解ニッケルでよくあるトラブル

無電解ニッケルめっきの処理において、調達・購買担当者様が遭遇しやすいトラブルはいくつか存在します。これらは製品の品質低下や納期遅延を引き起こす恐れがあるため、事前の把握と対策が重要です。

2.1 めっき皮膜の剥がれ

最も一般的なトラブルの一つが、めっき皮膜の剥がれです。これは、前処理が不十分で被めっき物の表面に油分や酸化膜が残っていた場合や、めっき浴の管理が適切でない場合に発生します。素材と皮膜との密着性が低いと、後工程や使用中に容易に剥がれてしまう可能性があります。

また、めっき後の急激な温度変化や物理的な衝撃も、皮膜剥がれの原因となることがあります。

2.2 めっき皮膜のピンホール・ブツ

ピンホール(微細な穴)やブツ(異物による突起)も、よく見られる不具合です。ピンホールは、被めっき物の表面にガスや異物が付着していた場合や、めっき浴中に不純物や微粒子が混入している場合に発生します。

これらのピンホールは皮膜のバリア機能を損ない、耐食性を著しく低下させる原因となります。一方、ブツは、めっき槽中の浮遊物や、槽壁から剥離した析出物が被めっき物に付着し、そのままめっきされることで生じます。見た目の不良だけでなく、機能面にも悪影響を与えることがあります。

2.3 めっき皮膜の厚みムラ

めっき皮膜の厚みムラは、特に複雑な形状の部品において発生しやすいトラブルです。無電解ニッケルめっきは電気めっきと比べて均一性に優れるとされていますが、浴液の攪拌不足や被めっき物の配置、液温の不均一などによって厚みの偏りが発生することがあります。

厚みムラが生じると、耐摩耗性や耐食性が部分的に低下したり、寸法公差を満たせなくなる恐れがあります。

2.4 めっき皮膜の変色・光沢不良

変色光沢不良は、外観品質に直結する重要な不具合です。これは、めっき浴の組成不良や、めっき後の洗浄・乾燥不足により発生します。たとえば、浴液中のリン濃度が高いと光沢が低下しやすく、後処理において薬品が残留すると変色を引き起こす可能性があります。

また、過度な熱処理も変色の要因となります。これらの不具合は見た目だけでなく、場合によっては性能劣化の兆候であることもあります。

2.5 めっき速度の低下

めっき速度の低下は、処理が予定よりも遅れる原因となるトラブルです。これは、めっき浴中のニッケルイオンや還元剤の濃度低下、浴温の低下、不純物の混入、あるいはpHの異常などにより発生します。

めっき速度が低下すると、生産性が損なわれ、納期遅延に直結するため、特に調達・購買担当者にとって注意が必要です。

3. 無電解ニッケルめっきを施した加工実績紹介

3‐1.OA機器部品への電気ニッケルめっき

本表面処理・めっき処理事例は、アルミ表面処理・めっき. COMが手掛けたOA機器の部品で、電気ニッケルめっきを施しています。鉄を基材としており、サイズが50mm×10mm×10mmと小さなサイズで、薬液に漬けることでめっき処理を施しています。>>>詳しくはこちら

3‐2.食品機械部品への無電解ニッケルめっき

本表面処理・めっき処理事例は、アルミ表面処理・めっき. COMが手掛けた食品機械のパーツとなる製品で、無電解ニッケルめっきを施しています。ギア形状で回転をしながら相手部品と噛み合うことで駆動する部品です。
膜厚の均一性と、防錆性を付加する為に無電解ニッケルを行いました。>>>詳しくはこちら

3‐3.アルミ繊維機械部品への無電解ニッケルめっき

本表面処理・めっき処理事例は、アルミ表面処理・めっき. COMが手掛けた繊維機械のパーツとなる部品で、無電解ニッケルめっきを施しています。

アルミを基材としており、繊維機械の構成部品でなかでも糸道に使用される部品のため、製品に傷を与えないよう糸道部分への傷なしとの指定があり、且つめっき面に対する面粗度要求が厳しくしてされております。>>>詳しくはこちら

4. 無電解ニッケルめっきならアルミ表面処理・めっき.comを運営する浅下鍍金にお問い合わせください

これらのトラブルを未然に防ぐためには、信頼できるめっき加工業者の選定が非常に重要です。たとえば、浅下鍍金 では長年の経験と実績に裏打ちされた品質管理体制を整えており、被めっき材質や使用環境に応じた最適な処理条件の提案が可能です。また、アルミ表面処理・めっき サイトにも紹介されているように、素材ごとの特性を熟知した上での前処理や、安定した浴管理による膜厚の均一性確保など、専門性の高い対応が評価されています。

さらに、納期遵守と柔軟なロット対応も両社の強みであり、小ロットから量産対応まで幅広いニーズに応えられる点は、調達・購買担当者にとって大きな安心材料です。不具合発生時にも迅速な原因解析と再発防止策の提示が可能な体制が整っているため、品質と信頼性を重視する製造現場において高い支持を得ています。