アルマイトとは、アルミニウム表面に陽極酸化皮膜を生成する表面処理のことです。基材であるアルミニウムを電源の陽極で電解処理をして、アルミニウム表面に酸化アルミニウム被膜を作ることにより、基材であるアルミニウムの耐食性及び耐摩耗性の向上、及び付加価値として加色やその他の機能を得る目的として実用されます。
アルマイト処理の基本
アルマイト処理のうち、高硬度(HV450~500)及び耐摩耗性に優れた皮膜が「硬質アルマイト」と呼ばれています。通常のアルマイト処理が10μm程度ですが、硬質アルマイトの皮膜の多くは50μmの均一な被膜が形成されるのが特徴です。
標準的なアルマイト処理と、硬質アルマイト処理の違い
標準的なアルマイト処理と硬質アルマイト処理を比較すると、膜厚・硬度・処理条件・色味という4点で下記のように表現できます。
アルマイト処理といっても上記の様な差異があり、お客様の求める硬度・膜厚などの条件に併せて適切なめっき処理提案も可能です。
硬質アルマイトのメリット・デメリット
メリット
主なメリットとして、高い耐摩耗性と耐食性が挙げられます。これは、機械部品や建築材料として使用される際に、部品の長寿命化が可能となります。また、電気絶縁性が高く、電子機器部品にも適しています。さらに、滑り性が向上し、摺動部品に適しており、当社ではシャフトなどの製品に対する表面処理法としてご相談を数多くいただき、実績があります。メリットはまとめると下記の通りです。
- 長寿命化:耐摩耗性と耐食性が高いため、メンテナンスや交換頻度を減らすことができ、長期的にはコスト削減に繋がります。
- 低メンテナンス費用:耐腐食性があるため、厳しい環境下でも性能が維持され、修理やメンテナンスにかかる費用が抑えられます。
デメリット
次にお伝えするのが硬質アルマイトのデメリットについてです。デメリットが多くあるわけではありませんが、やはり処理コストが高いという点がネックの一つと言えます。下記にデメリットをまとめお伝えいたします。
- 処理コストが高く、複雑な形状の部品に適用が難しい点が挙げられます。
- 厚い皮膜を形成すると脆さが増し、衝撃に弱くなる可能性があるため、用途を選ぶ必要があります。
硬質アルマイトに適した素材
硬質アルマイト処理に適した素材は主にアルミニウム合金です。特に高耐食性や強度が求められる場合、6000番台や7000番台のアルミニウム合金がよく使用されます。これらの合金は耐摩耗性、耐腐食性、機械的強度に優れており、半導体製造装置、航空機部品、自動車部品、機械部品など幅広い用途で利用されています。例えば、A6061やA7075といった合金は硬質アルマイト処理に非常に適しています。
めっき処理事例のご紹介
アルミ製 繊維機械部品への白アルマイト
本表面処理・めっき処理事例は、アルミ表面処理・めっき. COMが手掛けた繊維機械のパーツとなる製品で、アルマイト処理を施しています。アルミを基材としており、繊維機械の構成部品でなかでも、高速回転での振動を厳しく軽減すべく耐摩耗性を確保可能であるとともに、繊維機械の厳しい稼働環境に耐えうる耐食性が求められております。
アルミ製 繊維機械部品への黒アルマイト
本表面処理・めっき処理事例は、アルミ表面処理・めっき. COMが手掛けた繊維機械のパーツとなる製品で、アルマイト処理を施しています。
アルミを基材としており、繊維機械の構成部品でなかでも高速機構に組み込まれる部品であり、耐摩耗と防食性が厳しく求められています。厳しい環境下で使用される部品の対応を求められるお客様には是非ともお勧めしたい表面処理であります。