
表面処理・めっきに関するよくある質問
アルミ表面処理・めっき.comを運営する浅下鍍金では様々な表面処理・めっきに関するご質問を多数いただいてきました。下記では、当社にいただいたよくある質問に対する回答例を掲載しています。お問い合わせいただく際、よろしければ下記もご覧ください。
めっきの仕上がりについて、サンプル品や過去の実績を見せてもらうことは可能ですか?
多くのめっき業者は、品質や技術力を示すために、サンプル品や過去のめっき実績を提示してくれます。これは、業者を選定する上で非常に有効な手段です。サンプル品を見ることで、めっき表面の仕上がり、光沢、そして均一性を直接確認することができます。また、実際にめっきを施した部品の性能データ(硬度、耐摩耗性、耐食性など)の提示を求めることも可能です。
めっき後の部品に、表面のムラや模様が見られることがあります。これはなぜですか?
表面のムラや模様は、めっき浴の攪拌が不十分であったり、めっき槽内の電流密度が均一でなかったりする場合に発生します。これにより、めっき被膜の厚さや結晶粒子の大きさにばらつきが生じ、肉眼で確認できる模様となって現れます。これは見た目の問題だけでなく、部分的に性能が低下している可能性もあります。特に複雑な形状の部品では発生しやすいため、業者に均一なめっきを得るための工夫(治具の工夫など)を事前に確認することが大切です。
めっき後の製品に発生した不具合について、保証期間や対応はどのようになっていますか?
めっき後の不具合に対する保証期間や対応は、業者によって異なります。通常、めっき加工後の不具合については、一定期間(例えば3ヶ月や6ヶ月)の保証を設けている業者が多いです。保証内容や対応範囲(再めっき、または損害賠償など)は、事前に業者との契約書や覚書で確認しておくことが重要です。特に、重要部品のめっきを依頼する場合は、不具合発生時の対応について詳細に合意しておくべきです。
めっき後の部品に、指で触ると少しザラザラした感触があるのですが、これは品質不良ですか?
めっき後の部品の表面がザラザラしている場合、めっき被膜の結晶粒子が粗いか、めっき浴中に不純物が混入している可能性があります。これは「粗面」と呼ばれる不具合で、めっき被膜の硬度や耐食性が低下している場合があります。特に摺動部品など、滑らかさが要求される用途では、重大な品質不良となります。ザラつきの程度にもよりますが、発注時に要求した表面粗さと比較して、許容範囲内かを確認することが重要です。
めっき処理を依頼する際に、部品の素材や熱処理の履歴を伝える必要はありますか?
はい、必ず伝えるべきです。部品の素材(鉄、ステンレス、真鍮など)や熱処理の履歴(焼入れ、焼き戻しなど)は、めっきの密着性や品質に直接影響を与えます。例えば、焼入れされた高強度鋼は水素脆性を起こしやすいため、ベーキング処理が不可欠です。これらの情報を業者に伝えることで、最適な前処理やめっき条件を選定してもらい、不具合のリスクを最小限に抑えることができます。
めっき加工の工程で、部品に傷がつく可能性はありますか?また、どうすれば防げますか?
めっき工程中、特に前処理の洗浄や治具への取り付け・取り外し、そして輸送中に部品に傷がつく可能性はゼロではありません。対策としては、まず部品の取り扱いについて業者と事前に打ち合わせを行うことです。また、デリケートな部品の場合は、梱包方法や輸送方法について、より厳重な対応を依頼することも可能です。業者によっては、部品の特性に合わせた専用の治具を使用したり、保護材を巻いたりするなどの対策を講じています。
めっき業者から提示された見積もり価格に、どのような費用が含まれているかを確認すべきですか?
見積もりには、めっき処理費用だけでなく、前処理(脱脂、研磨など)、後処理(ベーキング、研磨など)、そして治具製作費用や運送費用が含まれているかを確認すべきです。特に、初回取引の場合や特殊な形状の部品の場合、治具の製作費用が別途発生することがあります。後から追加料金が発生しないよう、事前に見積もりの内訳を詳細に確認し、不明な点は業者に質問することが重要です。
めっきの検査は具体的にどのような方法で行われますか?発注者として、どのような検査報告書を求めるべきですか?
めっきの検査は、主に膜厚測定、硬度測定、密着性試験、外観検査などが行われます。膜厚測定には、X線蛍光分析器や電磁誘導式膜厚計などが用いられます。密着性試験では、部品を折り曲げたり、熱衝撃を与えたりして剥離の有無を確認します。発注者としては、これらの試験結果を数値で記載した「検査報告書」や「品質保証書」を求めるべきです。これにより、めっきの品質が客観的に確認でき、トラブル発生時の原因究明にも役立ちます。
めっき加工を依頼する際、納期はどのくらいかかりますか?また、納期を短縮することは可能ですか?
めっき加工の納期は、部品の数量、形状、要求される膜厚、そして現在の工場の稼働状況によって大きく変動します。一般的な納期は、数日から数週間程度です。納期を短縮したい場合は、特急料金を支払うことで対応してもらえる場合もあります。ただし、短納期を優先するあまり、品質が犠牲になることもあるため、事前に業者と十分な打ち合わせを行い、無理のないスケジュールを設定することが重要です。
めっきの仕上がりを左右する、めっき前の脱脂処理はどのような方法で行われますか?
脱脂処理は、めっきの密着性を確保するために非常に重要な工程です。一般的には、アルカリ性の脱脂剤を使用した浸漬処理や電解脱脂が行われます。アルカリ脱脂では、部品表面の油分や汚れを化学的に分解・除去します。電解脱脂は、電気を流すことで発生する泡(水素ガスや酸素ガス)によって物理的に汚れを剥離させ、より強力な洗浄効果が得られます。これらの処理が不十分だと、めっき層が剥がれる原因となります。
めっき後の部品に、指紋や手跡が残りやすいのですが、これは品質不良ですか?また、どうすれば防げますか?
めっき後の表面は非常にデリケートなため、指紋や手跡が残りやすいです。これは品質不良とは限りませんが、指紋に含まれる油分や汗の塩分が腐食の原因になる可能性があるため、注意が必要です。対策としては、めっき後の部品は素手で触らないよう、手袋を着用して取り扱うことが大切です。また、出荷前に防錆油や防錆剤を塗布してもらうことで、指紋や手跡が付きにくくなります。
大量の部品を一括でめっき依頼する際、品質のばらつきを防ぐための注意点はありますか?
大量発注時に品質のばらつきを防ぐためには、まず業者とロットごとの品質基準や抜き取り検査の頻度について合意しておくことが重要です。また、めっき浴の管理状態や、めっき槽への部品の投入方法が適切であるかを確認することも有効です。例えば、一度に大量の部品を投入すると、めっき浴の温度や成分濃度が変動しやすいため、業者に適切な管理体制を求めてください。
めっき後の部品に、白い粉のようなものが付着していることがありますが、これは何ですか?
白い粉状の付着物は、めっき後の水洗の乾燥残留物 や、めっき被膜に発生したクラック(微細なひび割れ)から染み出しためっき液の成分が結晶化したものである可能性が高いです。これは、めっき後の洗浄や乾燥が不十分な場合に発生します。これらの付着物は、部品の機能に直接的な悪影響を与えるだけでなく、腐食の起点になることもあるため、再洗浄や再処理が必要となる場合があります。
硬質クロムめっき後の部品が、錆びやすい箇所とそうでない箇所があるのはなぜですか?原因と対策を教えてください。
めっき被膜の厚さや品質が不均一である可能性が考えられます。薄い部分はピンホールが発生しやすく、そこから水分や酸素が侵入して素地が腐食し、錆びやすくなります。対策としては、まずめっき工程の見直しが必要です。具体的には、複雑な形状の部品には補助電極や遮へい板を使用し、均一なめっき膜厚を確保することが重要です。また、めっき後の防錆油や防錆剤による処理も有効です。
めっき加工を依頼する際、図面以外にどのような情報を業者に提供すべきですか?
図面以外に提供すべき情報として、まず部品の用途(摺動部か、耐食性が重要かなど)と使用環境(温度、湿度,耐薬品など)が挙げられます。用途が分かれば、業者も適切なめっき仕様を提案しやすくなります。次に、要求される性能(硬度、耐摩耗性、耐食性、膜厚のばらつきや芯ブレなどにおける許容範囲)や、特定の試験規格(塩水噴霧試験、摩耗試験など)がある場合は、その詳細を伝える必要があります。また、めっきが不要な部分がある場合は、マスキング指示を明確にすることが大切です。
めっき工程で、環境規制や安全対策はどのようになっていますか?調達担当者として確認すべき事項はありますか?
硬質クロムめっきは六価クロムという有害物質を使用するため、環境規制が非常に厳しいです。めっき業者は、有害物質の排出抑制や廃水処理設備を厳格に管理しています。調達担当者として確認すべきは、業者が環境関連の法規制(水質汚濁防止法など)を遵守しているか、ISO14001などの環境マネジメントシステムの認証を取得しているかなどです。企業のCSR(企業の社会的責任)の観点からも、環境に配慮した業者を選定することが重要です。
めっき後の部品の表面を観察した際、部分的に白っぽくなっている部分がありました。これはどのような不具合ですか?
めっき後に部品表面が部分的に白っぽくなる現象は、通常、「焼け」や「曇り」と呼ばれます。これは、電流密度が過剰になった部分や、めっき浴内にある不純物による影響を受けた部分で、めっき被膜が不均一に析出したり、結晶構造が粗くなったりすることで発生します。この状態は外観不良だけでなく、めっき被膜の硬度や耐食性も低下している可能性があります。不具合の発生原因を特定し、電流密度や治具の配置を見直す必要があります。
*電流密度とは、単位表面積あたりに流れる電流値を指します。単位はA/dm2です
*電流密度とは、単位表面積あたりに流れる電流値を指します。単位はA/dm2です
めっき処理後の寸法変化について、発注前に確認すべき事項は何ですか?また、寸法精度を確保するための対策はありますか?
めっき処理によって部品の寸法は必ず変化します。特に硬質クロムめっきは膜厚が厚いため、寸法変化の影響が大きくなります。発注前に確認すべきは、最終的な部品の寸法公差です。めっき後の寸法を考慮して、めっき前の素地寸法の公差を調整する必要があります。寸法精度を確保するためには、めっき業者に最終的な寸法公差を明確に伝え、めっき後の研磨や研削といった後加工の可否について相談することが重要です。特に精密部品の場合は、業者との綿密な打ち合わせが不可欠です。